ラララ吉祥寺

病院に着くなりストレッチャーに乗せられた芽衣さんは、直ぐに分娩室へと連れて行かれた。

「木島さん?」

「破水もしているし、多分もう直ぐ生まれますよ」

「木島さん?」

わたしはもう一度彼の名を呼ぶと、身体の震えが止まらなくなってしまった。

「文子さん?」

「あ……、わたし今頃震えがきました。

あぁ……、木島さんがいて良かった。

わたし一人だったらオロオロするばかりで……」

「大丈夫、無事生まれますよ」

次の瞬間、わたしはそう呟いた木島さんに抱きしめられていた。

ゆっくりと大きな手で頭を撫でられ、次第に気持ちも落ち着いていく。

次第に震えも収まっていった。

大きな木島さんの胸に顔を埋め、わたしはすっかりあやされる子供状態だ。
< 149 / 355 >

この作品をシェア

pagetop