ラララ吉祥寺
後産を終えた芽衣さんは、いきんだせいか赤い顔をしていたけれど、生まれたばかりの赤ちゃんを胸に抱いて幸せそうだった。
「文子さん、木島さん、ありがとうございました。
わたし一人じゃ、ちゃんと産めなかったかも」
そう言って涙ぐむ芽衣さん。
「何言ってるんですか。一番たいへんだったのは芽衣さんですよ。
僕達はそのお手伝いしただけです。
立派でした」
木島さんは毅然としてそう言った。
「疲れたでしょ、ゆっくり休んで。明日改めてお見舞いにきます」
口数が少なくなったわたしに代わって、木島さんが芽衣さんに別れを告げた。
「文子さん? 大丈夫ですか?」
「ちょっと疲れました」
「無理もないです。早く帰って休みましょう」
駐車場までの道すがら、木島さんはわたしを気遣って、肩を優しく抱き寄せた。