ラララ吉祥寺
「おはようございます!」
食堂に下りると、木島さんは既に朝食を終え新聞を読んでいた。
「文子さん、おはよう。良く眠れましたか?」
「はい、もうぐっすりと」
それは良かった、と木島さんは湯のみを口元へ運んだ。
「面会はいつ行きますか?」
「えっと、確か2時からなので、その頃に」
「じゃ僕も一緒に。
折角だから何処かでランチでも食べましょうか?」
「えっ? 木島さん、お店はいいんですか?」
「五月の連休も休みなしだったので、田中くんにもお休みあげないといけませんしね。
何より、今日は僕が眠くて……。
急遽休みにしちゃいました」
文子さんを一人にするのは心配ですし、と木島さんが笑った。
「昨日はすいませんでした。わたしいつの間にか寝てしまって……
あの……、木島さんが部屋に運んでくれたんですよね?」
わたしは自分で二階に上がった記憶がないので……、と恐縮して聞くと。
「いえいえ、あのまま朝までは僕が辛かったので、勝手にお部屋に入らせて貰いました」
さすがに僕の部屋で一緒に寝るのは不味いでしょ、なんて彼がおどけて言うものだから、わたしは急に恥ずかしくなってしまった。