ラララ吉祥寺
背が高いってことは、足も長いってことで。
彼の歩幅は、軽くわたしの1.5倍はあるに違いない。
「き、きじま……さん、ま、まって……」
息せき切って小走りに追ってくるわたしにやっと気付いて、木島さんが振りかえった。
「いや、こりゃ失敬。
つい田中くんと一緒のつもりで歩いてしまいました」
はい、と笑いながら差し出された手に、わたしは勢い縋りついた。
しっかとその手を握り、息を整える。
はぁ~、もう~、苦しいぃ……
「折角の散歩ですからね。ゆっくり行きましょうか」
ぐいっと引き寄せられて、彼との距離が急に縮んだ。
「えっ……」
「最初から、こうしていれば良かったですね」
絡め取られた手は、彼の温もりで熱を帯びる。
木島さんの手は温かかった。
今度は少しゆっくりと、わたしの歩調に合わせ歩いてくれる。
繋がれた手が時折足に触れる、そんな距離。