ラララ吉祥寺

「いいんですよ。これは順番ですから。

実際二人は八十近くまで生きたんですから、大往生です。

祖父母には兄弟も無くて、血縁は僕一人だったんで、彼らの住んでた田舎の家を僕が相続することになって。

でも、当時の僕にはその価値もわからず、管理するにも手に余って。

その家を売ってしまったんですよ。

今では凄く後悔しています。

まぁ、今更なんですけどね」

だから文子さんの選択は正しいと思いますよ、と木島さん。

「わたしは、売ろうと思っても売れなかったってだけなんですけどね。

丁度道路に面した土地の部分が他人名義になっていて」

「親戚か誰かですか?」

「それが聞いたことない人の名前で。

確かに苗字は同じ山本なんですけど。山本なんて、ありふれた苗字ですから……」

「まぁ、そうですけど、おかしいですね……」

木島さんは合点がいかない様子で、暫く考えていたけれど。

まぁ、追々調べてみましょう、と言ってくれた。
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