ラララ吉祥寺
残されたこの土地と家を売ろうか、とも考えた。
不動産屋にも査定を願い出た。
けれど、調査の結果、二十坪にも満たないこの土地は、接道のない袋地であることが判明したのだ。
公図と称する土地の区分図を見ると、道路から家の建っている敷地までの小さな部分がきっちりと分けられていた。
その土地の所有者は「山本太郎」。
提示された登記簿謄本には、わたしの全く知らない人の名が記されていたのだ。
確かに姓は同じだが、母から太郎なる名の親戚について聞いた覚えはわたしには無かった。
まあ、よくある姓なので全くの他人という可能性も捨て切れない。
どちらにしても、今のわたしには連絡の取りようがないのだから同じことだ。
現実には、道路に面した門扉から玄関までの土地を何の疑問もなく毎日通っていた訳で、慣例上問題はないだろうということであったけれど。