ラララ吉祥寺
「ずいぶんゆっくりでしたね」
考えても無駄ですよ、なんてまるでわたしの心の中を見透かしたように木島さんに笑われた。
「じゃ、僕もシャワー浴びてきます」
文子さん、その間に海老の殻、剥いておいてください、と木島さんは茹で上がった海老を指差した。
大なべにはパスタを茹でる湯が沸いていて、キッチンスケールの上には測ったパスタ。
炒めたスライスベーコンと茄子がフライパンに、湯剥きしたトマトがまな板上に乗っていた。
ボールにはスライスしたアボガド。
夕食は、木島さんの作るベーコンとトマトと茄子のパスタに、アボガドと海老のサラダと見てとれた。
テーブルには既にパスタ用の大皿と、サラダボール、そしてワイングラスがセッティングされていた。
木島さんがシャワーから出てきたら、パスタを茹でて具とからめ、アボガドと海老を和えれば出来上がりだ。
なんと手際の良いこと。
わたしは急いで、海老の皮むきにとりかかる。
急がなきゃ、木島さんが出てきちゃう。
なんだかとてもワクワクした。