ラララ吉祥寺
手際よくフライパンをあおる彼の手付きに見とれていた。
洋食も作れるんだ……、と単純に感動していたというのもある。
「さ、食べましょうか」
と、皿にスパゲッティを取り分けながら、木島さんがわたしを席に着くように促した。
「先ずは、乾杯といきましょうか」
はい、と頷きながらグラスに注がれる白ワインの揺らめきを見つめる。
「芽衣さんのお産の無事と、俊一くんの誕生を祝って、乾杯!」
「乾杯!」
と、二人グラスを軽く合わせた。
口に含んだ白ワインは、チリ産のシャルドネ。
軽やかでフルーティーだ。
「さ、熱いうちにどうぞ。
フレッシュトマトに熱を入れるのもおつなものですよ。
トマトが甘くなる」
そう言って、木島さん自らもスパゲッティを大きく一口、口に入れた。
「うん、美味い」
「ほんと、美味しいです」
目を合わせて頷いた。
彼の洋食の腕前も、なかなかのものだ。