ラララ吉祥寺

湯上りだったから、いつもの癖でノーブラタンクトップに短パンの部屋着で。

夕食前なので、さすがにその上にパーカーを羽織って。

確かにその時には、きちんと前のジップを上まで閉めていた筈なのだけれど。

ほろ酔いで暑かったのか、パーカーの前ははだけて身体の線が丸見えだった。

「きゃっ!」

わたしは慌てて木島さんの胸を押し、彼から離れると、パーカーの前のジップを止めようと焦った。

目の前では木島さんが、可笑しそうに笑っている。

「もう手遅れですよ」

ほら、こうしていれば見えないですから諦めて、なんてそのまままた抱きしめられて、わたしは再び木島さんの腕の中に閉じ込められてしまった。

「今更ですよ、文子さん。

今この家の中には、貴方と僕の二人だけ。

そして貴方は既に僕の手中にある」

彼の大きな手が、わたしの服を割って背中をなぞった。

その熱い感覚に思わず身体がのけぞってしまう。

「文子さん、好きです」

その声に上を向けば、優しく微笑む彼の顔があって。

木島さんの優しい目が、わたしを真っ直ぐに見つめていた。

「わ、わたしも……、す、き……」

わたしは自分の気持ちに抗うことができず、つい本音を漏らしてしまう。

そう言い終らないうちに、木島さんはわたしの唇に軽く自分のそれを合わせ不敵に笑った。

「だと思った」

なんて余裕な発言が聞こえて、わたしはそのまま抱き上げられてしまった。
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