ラララ吉祥寺

木島さんはわたしを抱いたまま居間に戻ると、ソファに座った。

彼の膝の上に座らされた格好のわたし。

自ずと視線が絡み合い、今度は自然に唇が重なった。


彼の口付けは優しかった。


わたしの知るそれは、もっと荒々しく貪るような、拒むことを憚れる勢いがあって……。

だから、流されたのだと思っていた。


でも……、それはわたしの作った幻想だった。

本当のわたしは、単に淫らで貪欲で。

こんなにも、ただの女に過ぎなかったのだ。


背中をなぞる手と、啄ばむような口付けに、わたしの中の女が目を覚ます。

「きじま、さん……」

彼の名を呼びながら、その首筋に手を伸ばす。

もっと彼が欲しいという欲求が、わたしに彼との距離を縮めさせた。

彼に縋りつくように身を起こし、重ねた唇から彼の瞼へキスを落とす。

その薄い皮に舌を這わせると、眼球が微かに動くのが舌先に感じられた。


「あ……」


その瞬間、わたしの身体は押し倒されソファに沈んだ。
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