ラララ吉祥寺
昭和25年に改正された建築基準法により、建築物の敷地は道路に二メートル以上接しなければならないと規定されているそうで。
だから、母の土地は、再建築のできない所謂、死に地。
おまけに築三十年超えの我が家は、取り壊し費用はかかっても売る価値のない、廃屋。
よって、売却は難しいだろうと言われてしまった。
時間をかけて山本太郎なる人物の居所を突き止め、その敷地を購入するか反対に購入して貰うか。
いずれにしても、かなりの時間がかかる気の遠くなるような作業が必要となる。
この家に価値がないという現実。
それは母の死に加え、少なからずわたしにショックを与えた。
雨露しのげる場所があるだけ有り難いではないか。
そんな慰めの言葉も空しく響いた。
その日暮らしのつけがこんなところでまわってきた。
目の前が一瞬、真っ暗になった。