ラララ吉祥寺
「貴方は僕を驚かすのが好きだな」
もう手加減しませんよ、と囁きながら彼がわたしの首筋に顔を埋めていく。
なぞられる唇と熱い舌の感触。
それは鎖骨を通り、肩を這い、徐々に下へと移動する。
わたしの感覚は、彼の熱に研ぎ澄まされていく。
まるで宙から俯瞰するように、自らの淫らな姿を想像して、わたしは興奮していた。
わたしの下に滑り込んだ彼の手が、わたしの背中を大きく持ち上げた時、彼の口がわたしの胸の頂を食んだ。
「あ……、うん……」
遠い昔の官能の記憶が、わたしの中で蘇る。
「き……、て……」
わたしの腕は、彼を求めて宙を彷徨った。
彼は上体を少し起こしわたしに口付けると、その手をわたしの彷徨う手の平に重ねた。
「ふみこ……」
彼がそう囁いた時だった。
カリカリと窓ガラスを引っ掻く爪の音と、<ミャァ……>という鳴き声が聞こえたのだ。
<ミャァ……、ミャァ……>
いつまでも泣き止む気配のないその窓の方を見ると、そこには後ろ足で立ち上がり、ガラスにへばりつく左膳の姿があった。