ラララ吉祥寺

ユニクロのスキニージーンズ、白のTシャツ、コンバースのスニーカー。

いつものファッションの上に、買ったばかりのスカイブルーのニットを重ねて着る。

いつもは下ろしたままのストレートな髪を、金のバレットで後ろで留めた鏡の前のわたしは、いつもより少し自信有り気な良い女に見えた。

徐々にデート気分が盛り上る。

公園までは徒歩五分。

わたしは浮き浮き気分で公園の入口にもたれ、木島さんを待っていた。


公園は中央線高架と五日市街道の間にあり、目の前には大きなマンションある。

さすがにもう辺りは暗く、マンションの窓にはいくつも明かりが灯っていた。

家路を急ぐ人達が、駅の方角から、一人また二人と公園の前を通り過ぎて行く。

五分も経たない内に、バタバタとした喧騒が駅の方から漏れてきて、わたしの浮き立っていた気分は次第に不安に変わっていった。


人を待つのは好きじゃない。


待っても来ない可能性だってある。

わたしが待っていることを期待されていない可能性だってある。

そんな不安に追いたてられ、なんだか取り残された気分になってくる。

気が急いて、待ち合わせの時間より随分早く着いてしまった自分を呪う。


やめやめ、らしくないことはするものじゃない。


木島さんには悪いけど、ここは逃げ出して少し時間を潰してこよう、待たせるくらいがわたしらしいじゃない、と公園を背にして歩き出した時だった。
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