ラララ吉祥寺


「龍ちゃん、いらっしゃい! 

おっ、女性連れとは珍しいね。もしかして、彼女さん?」


店員らしきお兄さんが、木島さんに声をかけてきた。


「靖さん、こちらは我が龍古堂のウェブデザイナー、山本文子さん。

そしてこっちは、この店の店主、内藤靖男さん」


木島さんは、わたしの両肩をもって靖さんに向けると、そう彼に紹介してくれた。


彼女、ではないわけだ……


山本です、とわたしは小さく頭を下げた。

え、あのホームページ作った人? なんて、彼は驚いてくれていたけれど。


わたしの少しだけ落ち込んだ気持ちは、それくらいでは持ち上がらなかった。
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