ラララ吉祥寺
「胃に優しい方が良いでしょう」
食堂の席に着くなり出されたのはお粥で。
木島さんは朝食にと、卵粥を作って待っていてくれた。
確かにここ二日ほどのわたしは、少しばかり飲みすぎかもしれないなと思い返す。
程よく冷めたお粥が、疲れた胃に染み渡る。
「美味しいです」
「それは良かった」
ああ……、またしてやられた。
木島さんと交わす言葉は、いつもわたしの攻撃的な気分をあっさり消し去ってしまうのだ。
「さてと、僕は仕事に出ますが、文子さんの今日の予定は?」
「午後はお見舞いに行くつもりです。
天気が良さそうなので、午前中は洗濯でもしようかと」
わたしは、窓の外を眺めながらそう答えた。
「わかりました。
まぁ、昨日の今日で、まさか花岡が来るとは思えませんが、念の為、お昼には顔を出しますね。
そうだ、西荻に美味しい肉まん屋があるんですよ。
お昼に買って帰るので、楽しみに待っていてくださいね」
木島さんはそう言うと、今日もわたしの返事を待たずに出掛けて行ってしまった。