ラララ吉祥寺
「さて、そろそろお見舞いの時間ですよ」
片付けは僕がやりましょう、と皿を重ねて手に持って木島さんが立ち上がった。
「えっ、今日は一緒に行けるんですか?」
昼食に戻って来ただけだと思っていたわたしはちょっと驚いた。
「花岡の様子も気になりますしね。
彼女が入院してるとわかれば、近隣の産科病棟に片っ端から電話を入れてることでしょうし。
いきなり現われでもしたら芽衣さんもショックでしょ。
一応状況は説明しておいた方がいいんじゃないかな」
「ですよね……」
確かに、彼も大人な訳だし、目的があれば手段がある。
芽衣さんの病院を探すことなど造作も無いことだ。
「ま、結局は二人の問題ですし。僕達が気に病んでも、運命には逆らえませんが。
……文子さん?」
だからと言って、素直には喜べない。
「でも……、お兄さんが来てくれたって、あんな、あんな中途半端じゃ……」
芽衣さんにしたって、折角の決心が鈍るというものだ。