ラララ吉祥寺

木島さんと並んで歩く。

手を繋いで。

高校生じゃあるまいし、と思いながらも、その心地よさに酔っていた。

いつでもどこでも、すこしでも触れ合っていたい、恋しい気持ち。

木島さんが同じ気持ちなのかはわからないけれど。


「文子さん、もし花岡が病院に現れても、僕は退院の日までは芽衣さんに会わせない方が良いと思ってるんです。

女性は強いといっても、今は精神的に不安定な時期でしょ」

「でも……、花岡さんが来たことは話すのでしょう?」

「花岡と名乗る男が訪ねて来た、とだけ言っておきましょう。

事情がわからないので、芽衣さんは暫く旅行で留守にしていると伝えたことに」

「でもそれって、ただの時間稼ぎですよね?」

「まぁ、そういうことです。

あと二日の猶予ってことです。明後日には退院ですからね」

僕達の関係も、それまでにははっきりさせないとね、と木島さんは小さい声で付け足した。
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