ラララ吉祥寺
第三夜
本日二度目のシャワータイム。
無駄毛の処理とか、お肌のトリートメントとか。
鏡をじっくり覗いたら、髪にも白髪を何本か見つけて気落ちした。
人間、三十五にもなれば、白髪の一本や二本。
いや、三本や四本……。
普段化粧っ気の全くないわたしだから、お化粧ののり云々はわからないのだけれど。
それでも、増えこそすれ薄くならないソバカスとか、目じり口元の小皺だとか。
ハリの無くなった胸やお腹のたるみ。
気にし始めたら、そりゃもう気にならないところが無いという恐ろしさ。
「恋愛以前。心持の問題だわ……」
そもそも、木島さんに会うまでのわたしには、世の中に男性というカテゴリーが存在することすら頭から抹殺していたくらいなのだ。
父親の顔も知らないし。
わたしは母のお腹から生まれ出た奇跡の子、みたいな。
唯一信頼していた雅人にも裏切られ、男なんて役にも、頼りにもならない、そう思って無視を決め込んできた。
今更何を……。
ここ数日の木島さんとのやり取りを思い出して苦笑した。
女を捨てて生きてきたわたしが、今更彼に何を求めようというのだ。
同居人という枠を超えて交わった先に何があるのか。
考えるだけでも恐ろしかった。