ラララ吉祥寺
たっぷり休養をとったわたしの脳は、一転、楽天思考に転換されていた。
まぁ、木島さんの顔を見たら不安も吹き飛んでしまったというか。
木島さんは、寝ているわたしを起こすまいと、先にシャワーを浴び、わたしが用意した夕餉の皿を食卓に並べて電気も付けずに待っていてくれた。
「暗いままだったら、朝まで寝てたかもしれないですよ。
起こしてくれれば良かったのに」
実際、なんで目が覚めたのかわからないほど熟睡していたのだ。
「いや、あんまり寝顔が気持ち良さそうなんで、つい見とれてました」
恥ずかしいじゃないですか、と言うわたしに木島さんはただ笑って返すだけ。
まさか、わたしの脳内まで覗いたわけじゃないだろうけど、彼は何だかとても嬉しそうだった。
ご飯とお汁をよそい、席に着いた。
「いただきます」
二人揃って手を合わせる。こういうところも何故か気が合うわたし達。
「丁度さっぱり和食が食べたかったんです。
よくわかりましたね、文子さん」
「なんとなく、わたしも食べたかったんで」
「気が合いますね。
いやぁ、この焼き茄子、美味いです。
お刺身も生きがいい」
「帰りに駅中の魚屋で買ったので」
木島さんはいつものように、おかずで一膳、自慢の糠漬けで一膳、ご飯を平らげた。