ラララ吉祥寺

するりと両手を木島さんの背中に回してしがみ付いた。

ガッチリとした身体つき、男の人の匂い。

ふぅ……、と小さく溜息をついたわたしを木島さんは見逃さなかった。

「文子さん、なんか難しいこと考えてるでしょ」

わたしの眉間によった皺を撫でながら、木島さんが覗き込んできた。

「駄目ですよ。

もう後戻りはできません。

貴方が好きです。

離しませんよ」

そのまま口付けられて、言葉を失った。

優しく甘く、包み込むような木島さんのキス。

何故だか、とても懐かしい感覚だった。

背中に回された彼の大きな手が、わたしの肌に触れる。

「あっ……」

その感触に仰け反ると、彼の舌が割って入ってきた。

熱くゆっくりと、わたしの口内を弄る彼を必死で追いかける。

「きゃっ……」

突然抱き上げられ、身体が浮いた。

「今日は止めませんよ」

わたしは彼の首にしがみ付く。

それはわたしなりの了解の合図だった。
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