ラララ吉祥寺
八時少し前、再びわたしのスマホが震えた。
『ポストが見えます。迷ったかな?』
meiさんからの呟きだった。
『判りにくいので外に出ます』
この辺りは袋小路が多くて判り難いのだ。
わたしは急ぎ外へ出た。
この時間、こんな住宅街を歩く人は少ない。
門から道路を見渡すと、携帯片手に大きなキャリーバックを引く人影が見えた。
わたしは道路に一歩踏み出すと、軽く右手を上げて合図した。
その合図をとって見たか、人影がこちらに向かって近づいてくる。
「メイさんですか?」
わたしは確信を持って声をかけた。
「サゼンさん?」
街灯の下に現れた彼女は、長い髪を頭の上でお団子に纏め、頬はほんのりピンク色、付け睫毛で目元パッチリの、今風女子。
ゆったりとした長めの赤いギャザースカート。
モコモコのフード付きセータの上にジーン地のダウンベストを重ね、足元はモヒカンブーツ。
首には小さな花柄の明るいスカーフを巻いていた。
フワフワした癒し系?