ラララ吉祥寺
一瞬動きを止めた木島さんだったけれど。
今更止められるわけもなく、無視を決め込んで動きを再開したのだが。
再びチャイムが鳴り響く。
今度は絶え間なく、攻め立てるように何度も何度も。
彼の動きが止まった。
「嗚呼、畜生、こんな時に!
花岡ですよ、奴に違いない。
出ない訳にはいかんでしょう」
木島さんは吐き捨てるようにそう言うと、立ち上がって服を着た。
その変わり身の早さに、わたしはただ唖然とするばかり。
「文子さんも、急いで服を着てください。
ぼくが先に出て居間に通しますから、身支度整えたら降りてきてくださいね」
この続きはまた後で、そう付け足して、彼はわたしの額に優しくキスを落とし、階段を駆け下りていった。