ラララ吉祥寺
誤解
真っ暗な闇の中、気がつくと瞼の裏に赤い光が映りこんでいた。
眩しい……
陽の光がわたしに注いでいるのだ。
あれっ? ここは何処?
身体のあちこちに鈍い痛みを感じるものの、何故か心の中は空っぽだった。
そうだ、昨日木島さんと……
あれっ? 木島さんは?
わたしは大きく目を見開いた。
彼の部屋には南の掃き出し窓から陽の光が燦々と差し込んで、光で溢れていた。
眩しさに目が慣れず、辺りは白く輝くばかりだ。
「やっと起きましたね」
わたしの横で肩肘を突いて寝転んだまま、わたしを覗き込む木島さんがそこにいた。
「年甲斐も無く張り切り過ぎました。
文子さんは大丈夫ですか?」
「えっ? きゃっ……」
布団からはみ出たわたしの胸に、木島さんがキスを落としたのだ。
わたしは恥かしくて、勢い布団をたくしあげその中に顔を埋めて隠れた。
「僕もさすがに疲れました。
田中くんにはもう連絡したので、午後から店を開けます」
ゆっくりブランチを取りましょう、そう言って彼は布団ごとわたしを抱きしめた。