ラララ吉祥寺

対するわたしは、ユニクロのルームパンツにスウェットパーカー。

その上にマーブルで買った綿入れ半纏という防寒ファッション。

おまけにスッピン。

彼女はわたしのそんな見かけに惑わされることなく、頭の上のお団子が落ちてくるんじゃないかと思う位深々と頭を下げて挨拶をした。

「はじめまして。花岡芽衣と申します。

今晩は突然にお邪魔して、ほんと申し訳ありません。

ご迷惑じゃありませんでしたか?」

「いえいえ、思い立ったら吉日と申しますし。わたしも早くお会いしたかったので、お気になさらず。

改めて、わたしが家主の山本文子です。

今回はこちらこそ、いらして頂きありがとうございました」

「嗚呼、良かった」

そう言って、花岡芽衣はその綺麗な顔を綻ばせた。
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