ラララ吉祥寺
ちょっと一息ついて、わたしはかしこまって芽衣さんに向き合った。
「で、昨日の話の続きなんだけど、お兄さんのこと。
芽衣さんはお兄さんになんて説明するつもりなの?」
暫く考えて、芽衣さんが話し出した。
「昨日は木島さんの手前、あんなにきっぱり言っちゃいましたけど。
正直、まだどう説明したものか悩んでます。
子供のことは伝えたいけど、知った兄がどう感じるかを考えると怖いです。
でも、子供が成長した時、父親のことをきちんと伝えてやりたい気持ちもあります。
ずっと好きで尊敬していた人だもの。
あの子に父親を恨んで欲しくはないんです」
でも、迷惑でしょうね、なんて芽衣さんは小さく溜息をついた。
「そんなことないですよ。
もしかしたら、芽衣さんの取り越し苦労かも……」
「あんなに取り乱した兄を見たのは初めてだったんです。
わたしが子供を産んで、喜ぶ筈がありませんよ……」
彼女の思い込みも尤もだと思ったけれど、多分それは思い込みに違いないのだ。
花岡さんは芽衣さんの誤解を解くことができるのかな。
できると良いけれど。