ラララ吉祥寺

病院近くの喫茶店で、わたし達は向かい合いって座ったのだけれど。

いざとなると花岡さんは話しにくそうに、わたしの様子を伺った。

「文子さんは、芽衣からどこまでお聞きですか?」

いろいろ話し辛いことばかりなので、先にお聞かせ願えれば、と花岡さんが丁寧に言葉を紡いだ。

「えっと……、お二人が関係を持たれたことは聞きました」

「じゃ、その後直ぐに、芽衣が家を出た理由もご存知ですか?」

「えぇ、まぁ……」

「僕が親戚の手前、芽衣の良い兄でいることに拘っていたことは話しましたよね」

「はい」

「芽衣が高校、大学と進んで、社会人になって。

その時僕は芽衣に家を出て独立するように言ったんです。

芽衣は23、僕は28になっていましたからね。

兄としての役目は果たせたと思ったし、芽衣が時折見せる女の顔に、僕自身が耐えられそうになかったんです。

芽衣が泣いて嫌がって、結局今まで通りってことに落ち着きましたが」

花岡さんは昔を思い出したのか、少し遠い目をしていた。
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