ラララ吉祥寺
「それがあの日、芽衣が急に一緒に飲もうと言い出して。
僕は、もともとお酒には弱い方なんです。
酔うと眠くなってしまってね。
だから外では滅多に飲みません。たまに、家でお祝い事の時、ビールをコップ一杯ほど口にする程度で。
それがあの日は、芽衣がやけに饒舌で、僕の海外勤務の話や、自分の仕事の話、亡くなった両親の思い出話に興じてしまって。
つい、飲み過ぎました。
お恥かしい話ですが、途中から記憶がなくて。
次の日起きたら隣りに芽衣がいて。
僕は、酔った勢いで妹を犯してしまったのかと……
確かに、断片的には覚えているんです。
今まで何度も夢には見た光景でしたから。
それがまさか現実だったとは……
僕は自分が許せなくて、芽衣に申し訳なくて……」
花岡さんは沈みがちになる声を無理矢理絞り出しながら、終には声が震えて語尾が殆ど聞こえなくなってしまった。