ラララ吉祥寺
門から玄関までは舗装されていない上、飛び石の置かれている距離が離れている。
彼女は仕方なく、キャリーバックを抱えるように持ち上げ、わたしの後を着いて来た。
「おじゃましま~す」
その声はあくまでポジティブだ。
玄関に荷物を置き、先ずは部屋へと案内した。
「芽衣さんが一人目なので、部屋はどちらせもお好きな方で構いません」
軋む階段を上がりながら、ざっと家の作りの説明をする。
「一階に居間兼食堂、洗面浴室。トイレは一階に一つ。
浴室とトイレは五年ほど前に改修したので便利は良いです。
洗濯機は置き場もないので共同で。乾燥機はありません。
ベランダ南向きなので外干しでお願いします。
食事は自炊をご希望ですか?」
「文子さんのお部屋は?」
「あ、わたしの部屋は西側の一番奥です。
西日が当たるのですが、納戸が隣りにあるので便利が良くて」
「じゃぁ、わたしは真ん中の部屋にします。順番ということで。
あ、入ってみて良いですか?」
彼女はあっさりと真ん中の部屋を取ると、恐々中を覗き見た。