ラララ吉祥寺
バタバタと部屋を片付け、ベットの脇に布団を敷いた。
母の遺影に手を合わせ、不思議な気持ちで語りかける。
『お母さんはわたしのこと、わかってくれないってずっと思ってきたけど。
お母さんのこと、わかってなかったのはわたしの方だったみたい』
なんだかここ数日の出来事に気持ちがついていかなかった。
木島さんのこと。
芽衣さんと花岡さんのこと。
そして父のこと。
わたし一人が取り残されたような、もどかしい気分だ。
木島さんの気持ちも。
芽衣さんと花岡さんの気持ちも。
母を想う父の気持ちも。
父を想っていた母の気持ちも。
どこか手の届かない異次元の出来事で、結局はわたしとは関係のないところにあるんじゃないかという思い。
「やっぱりわたし、芽衣さんの部屋で……」
父がわたしの部屋で寝静まった後、わたしは自分の寝場所を探しあぐねて戸惑っていた。
だって、やっぱり何だか恥かしい。
「こんな時に、貴方を一人にさせるわけにはいきませんよ。
どうも貴方は物事を客観的に見すぎる傾向がある。
どうあっても一緒に寝てもらいますよ。
お父様の承諾も得たことだし、観念してください」
「だって……」
「何を今更恥かしがっているんです?
一緒に寝るだけなのに?
明日も一日いろいろありそうです。
僕らも早く休みましょう」
確かに、明日は芽衣さんを病院に迎えに行く大事な日だ。
なんでこんなにいろんな事が、一度に押し寄せてくるんだろう。