ラララ吉祥寺
木島さんの軽トラに乗って病院へと向かった。
わたしは自分のことより、花岡さんと芽衣さんのことが気になってしかたない。
昨日大きな口を叩いてしまった手前、芽衣さんが花岡さんの言葉を受け入れなかった時のことが心配だった。
「上手くいくでしょうか……」
小さく溜息交じりに呟いたわたしに気付いて、木島さんがわたしを見た。
「文子さんは心配症だなぁ。
大丈夫ですよ、あの二人は」
その自信が何処からくるのかわからないけれど、木島さんはまるで気にすることさえ馬鹿らしいと言わんばかりの余裕だ。
「昨日の夕方、花岡が店に顔を見せたんです。
貴方に会って話を聞いて貰ったと言っていました。
貴方に言われたこと、身に沁みてるようでしたよ」
「わたし、余計なこと言ったんじゃ……」
「男は見栄っ張りですからね、あいつには良い薬ですよ」
「俊一くんの為にも、上手く元の鞘に収まってくれるといいんですけど」
「まったくだ、子供に罪はありませんからね」
ほら、噂をすればもう来てますよ花岡、と木島さんは病棟正面車寄せ付近を指差した。
きちんと身なりを整えて、ダークなスーツに身を包んだ花岡さん。
彼は緊張した面持ちで、静かにそこに立っていた。
手には小さな花束が見えた。
あぁ、わたしの方がドキドキする。