ラララ吉祥寺


わたしの背後から、彼女を呼ぶ花岡さんの声が聞こえたのだ。

見る見る血の気が引いていくその顔が、あまりに痛々しくて。

「なんで……」

搾り出すように発した言葉は、震えて聞き取れないほど弱弱しかった。

近づく足音。

「芽衣、探したんだぞ」

そう言って一歩わたしの先に出た花岡さんは、芽衣さんの右腕をしっかりと掴んだ。

花岡さんを見る芽衣さんの目が微かに揺れて、わたしは彼女が泣き出すんじゃないかと思って身構えた。

だってわたしはあくまで彼女の見方なのだ。

が、次の瞬間、彼女は唇をきりりと結び意を決したように言葉を発したのだ。


「俊夫兄さん、ご無沙汰してます。よくここがわかりましたね」


精一杯の強がりとプライドが、彼女を今、そこに立たせていた。
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