ラララ吉祥寺

「雨戸は無いので、出来れば遮光カーテンにした方がいいでしょうね。

窓の大きさは一般的な筈ですから、出来合いで間に合いますよ」

わたしは彼女の後ろから手を伸ばし、入口壁の横の照明のスイッチを入れた。

部屋中央の天井には仮の電球のソケットが取り付けてあり、裸電球が部屋を照らした。

「この器具は仮なので、無印とかディノス、パルコの上のフランフランでも、お好きな照明器具を選んで付けてください。

隣りの部屋との間は収納になってます。

布団を入れるには奥行きが狭くて申し訳ないですけど」

部屋に入り、収納の扉を開けた。

凝った作りではないが、一間弱の間口の収納には、ハンガーパイプと枕棚が設置されている。

これだけあれば服の収納には困らないだろう。

「ベランダは共有なんで、洗濯物はハンガーとかピンチハンガーとか、適当に用意して干して貰えれば。

南向きなんで、日当たりはいいです」

わたしの説明に頷く声も聞こえない。

部屋を借りる前提で話をしているのが気に入らないのかな、と後ろを振り返った。
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