ラララ吉祥寺


父を交えての総勢五人の宴会。


花岡さんと芽衣さんの結婚祝いと出産祝い。

父の日本で初めての展覧会開催祝い。

そして芽衣さんの音頭で、木島さんとわたしのくっつき祝い。

何度となく乾杯が交わされて、芽衣さんが花岡さんにグラスを取り上げられた。

「お前は母親としての自覚が足りない。

母乳で育てる気なら、少しは慎め」

乾杯を勧めたわたしの肩身も狭い。

「もう、俊夫さんは堅すぎです。

今日は特別ですよ、そんなことわたしだってわかってます。

こうやってリラックスした方がお乳の出も良くなるですよぉ~」

花岡さんの堅い睨みも、芽衣さんには形無しだ。

二人の歴史の長さを感じた。

花岡さんのマンションは、ここから徒歩五分ほどの駅前高層マンションの8階で。

なんと千葉の実家を売り払い、引っ越してきたと言うので驚いた。

「地元は何かと煩いでしょ。

家族で暮らした思い出の家ですが、僕の家族はこれから芽衣と二人で作っていくので」

穏やかに語る花岡さんの横で、芽衣さんが嬉しそうに笑っていた。
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