ラララ吉祥寺


「気に入りました。是非住まわせてください」


わたしと目を合わすなり、彼女は静かにそう言った。

「えっ、下は見なくて大丈夫? お家賃の取り決めとかは?」

うろたえたのはわたしの方だった。

何分心の準備が出来ていない。

しかし、彼女の声はさっきのフワフワした感じとは全く違う、とてもきっぱりとしたものだった。

「文子さんと一緒なら、なんだか気持ち良く暮らせそうです。

兎に角、わたしもう決めました。

どうぞ宜しくお願いします」

荷物部屋に上げていいですか?と、彼女はそうにこやかに続けた。

今のところ、断る理由は何も無い。

落ち着いたら、下で一緒に夕飯如何ですか?というわたしの申し出に、彼女は快く頷いた。
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