ラララ吉祥寺

暫くすると、手にショルダーバックと紙袋を持った彼女が居間にやって来た。

「好き嫌いとかないかな?

たいしたものじゃないけど、夕飯はドリアです」

ポトフをリメイクした和風ドリアとサラダ。

わたしの用意した簡単な夕食に、彼女は嬉しいくらいの感嘆の声を上げた。

「うわぁ~、美味しそう。ご馳走になります」

彼女は早速、器の置かれたダイニングテーブルの一席に腰をかけると、顔の前できちんと手を合わせた。

「いただきます」

お昼からなんにも食べてなくて、と彼女はわたしの特製ドリアをあっという間に平らげた。

「これ、手土産です。コピスの下のパン屋で買ったミルクパン。

すっごく美味しくて病みつきなんです。

あ、このクリームパンも美味しいんですよ。食後のデザートに半分こして食べません?」

テーブルの上、紙袋から取り出したパンを並べながら彼女は言った。

「そうだね、美味しそう。お茶でも入れようか。

芽衣さんは、紅茶等、それともコーヒー党?」

「あ、わたし紅茶党です。できれば濃い目のミルクティーで」

「あ、わたしも」

「気が合いますね」

「ホントだ」

なんだか可笑しいくらいに普通に会話する自分に驚いていた。
< 29 / 355 >

この作品をシェア

pagetop