ラララ吉祥寺
暫くすると、手にショルダーバックと紙袋を持った彼女が居間にやって来た。
「好き嫌いとかないかな?
たいしたものじゃないけど、夕飯はドリアです」
ポトフをリメイクした和風ドリアとサラダ。
わたしの用意した簡単な夕食に、彼女は嬉しいくらいの感嘆の声を上げた。
「うわぁ~、美味しそう。ご馳走になります」
彼女は早速、器の置かれたダイニングテーブルの一席に腰をかけると、顔の前できちんと手を合わせた。
「いただきます」
お昼からなんにも食べてなくて、と彼女はわたしの特製ドリアをあっという間に平らげた。
「これ、手土産です。コピスの下のパン屋で買ったミルクパン。
すっごく美味しくて病みつきなんです。
あ、このクリームパンも美味しいんですよ。食後のデザートに半分こして食べません?」
テーブルの上、紙袋から取り出したパンを並べながら彼女は言った。
「そうだね、美味しそう。お茶でも入れようか。
芽衣さんは、紅茶等、それともコーヒー党?」
「あ、わたし紅茶党です。できれば濃い目のミルクティーで」
「あ、わたしも」
「気が合いますね」
「ホントだ」
なんだか可笑しいくらいに普通に会話する自分に驚いていた。