ラララ吉祥寺

「今、下宿人は木島さんお一人です。

あと一部屋空いているので募集を出しました。

一階は居間と食堂、お風呂とトイレがあります。個室は二階です。

見ての通りのボロ屋ですが、日当たりは良いです」

簡単な説明をしながら、階段を上がった。

「日当たりはどうでもいいんだ。

この家、インターネット繋がってる?

俺、トレーダーだからネット環境が一番問題なんだよね」

「わたしはそういうこと詳しくなくて。

でも、木島さんが何処でもパソコンできる、ワイヤレスなんとか、っていうのにしてくれてる筈です」

「ふ~ん、ワイヤレスなら都合がいいな」

「それより、影山くん、家事不要ってどういうこと?

定職じゃなくて定収入っていうのは、職業がトレーダーだから?

確かトレーダーって、株の取引でお金を儲ける職業だよね。

つまり君は会社に勤めるとかじゃなく、自分で株の売買をしてお金を儲けてるってこと?」

「せいか~い」

俺、結構稼ぎは良いんだよ、と笑った顔はまだあどけなかった。
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