ラララ吉祥寺
「でも、寝て食べて、お風呂入ったり洗濯したりするでしょ?」
「今までネットカフェで生活してた。
個室の長椅子で寝て、コンビニ弁当食って、コインシャワー浴びて。
洗濯は基本しない。下着は一週間着て捨てる。服は臭くなったら新しいのを買う」
それで全然困らなかった、と彼は言った。
「ここではみんなでご飯を食べるの。
料理が出来ないなら食事を作るまでは要求しないけど、後片付けは手伝って貰う」
「なにそれ?」
「ここは下宿屋なの。わたしの家に貴方が間借りする。
だから、わたしの決めたルールには従って貰う。
どんな事情があるか知らないけど、君の生活は不健全だよ。
もう少し栄養つけて太らないと。まだ背が伸びるかもしれないじゃない?」
「めんどくせ~」
「ま、兎に角部屋を見てください。折角来て貰ったんだし」
ここですよ、と部屋の扉を開けて中を見せた。
「この部屋の隣りが木島さん。わたしの部屋は突き当たりです。
収納は作り付けなので、家具は必要ないと思います。
カーテンと照明器具だけ、何か自前で揃えてもらえれば」
ね、日当たりは良さそうでしょう? と振り返ると彼の姿が見当たらない。