ラララ吉祥寺
「ね、影山くん。
一つ条件をのんでくれたら、君にここに住んで貰おうと思うんだけど」
「何ですか?」
「ご家族に、この家に住むことを知らせること。それが条件。
君が家出した理由は聞かない。
でも、未成年である以上、親御さんには君の居所を知る権利があると思う。
木島さんの言う通り、親御さんが心配して捜索願いを出されているかもしれないもの。
警察沙汰になるのはわたしも嫌。
だから、親御さんには居場所を知らせて欲しいの」
「親父は俺の居場所なんて興味ないと思うけど」
「それなら尚更、知らせて。それですっきりするじゃない」
「ったく、めんどくせぇな」
と言いながら、彼はおもむろにパソコンを開くとメールを打ち出した。
<タン>
と、大袈裟にリターンキーを叩いた彼が顔を上げた。
「知らせたぜ、これでいいんだろ?」
その顔には、何処か切羽詰った感があった。