ラララ吉祥寺

「お~い、せいね~ん、

お好み焼き焼けたぞぉ~

くわねぇかぁ~」

階段下から大声で呼んだ木島さんの声に、二階の影山くんから反応は返ってこなかった。

まぁ、素直に下りてくるとは思えないけどね。


「仕方無いな、文子さんお願いします」


廊下から振り向いた木島さんが、わたしを手招きした。

「えっ? わたし?」

「奴は家主の貴方の言うことなら絶対聞きますよ。僕が請合います」

「そんなもんですかね」

「ああいうタイプはそんなもんです」

木島さんに背中を押されて、わたしは渋々階段を上っていった。
< 306 / 355 >

この作品をシェア

pagetop