ラララ吉祥寺


<コンコン……>と、わたしは遠慮がちに彼の部屋をノックした。


「影山くん、良かったらお好み焼き食べない?

木島さんたら調子に乗って焼きすぎちゃって。

お腹に入れば手伝って貰えると助かるんだけどな」

あくまでも低姿勢で、且つ、木島さんを悪者にして影山くんを誘い出す作戦だ。

「残すの勿体無いでしょ、残り物で悪いんだけど……」

これが案外上手くいった。


「仕方ねぇな……、少しなら食えるかも……」


少し面倒臭そうな素振りをみせながらも、彼はあっけなく部屋から出てきたのだ。

「悪いわね。でも、結構美味しくできたのよ、お好み焼き」

「うん、確かに匂いだけは美味そうだ」

木島さんの匂い作戦は、彼の食欲をちゃんと刺激していたらしい。
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