ラララ吉祥寺
結局、影山青年は木島さんの焼いたお好み焼きを三枚平らげ、わたしの皿洗いを手伝ったあと、部屋に帰っていった。
「彼、普通に良い子でしたね」
「まぁ、まだまだ子どもだな」
「食べさせ甲斐がありますね」
「運動もさせないと」
「ですね、夜型はよくありませんね」
いつの間にか木島さんのペースで。
彼の思惑に嵌められて、わたしは景山君の世話を焼く気満々だ。
「さて、僕らも上がりますか」
「ですね。木島さん、明日の予定は?」
木島さんの後ろをついて階段を上がりながら、その大きな背中に声をかけた。
「明日はいつも通りです」
「じゃ、八時に朝食でいいですね」
「文子さん」
木島さんが自室の前で急に足を止めたので、わたしは彼の背中にぶつかってしまった。
「ちょっと待っててください」
木島さんはそう言い置くと、わたしを待たせて部屋に入っていった。