ラララ吉祥寺
世間一般の家賃相場はさて置いて、六万はわたしの一月分のアルバイト代とさして違いの無い金額だった。
「ほんとに?! そんなに出して貰えるなら、夕飯も作ろうか?」
つい本音が出てしまった。
「文子さん、それ人が良すぎますよ。
そんなに人を簡単に信用しちゃ駄目です」
よっぽどわたしの顔が締まり無く綻んでいたのだろう。
花岡芽衣が綺麗な顔を少しだけ歪めてわたしを嗜めた。
「でも、芽衣さんはこれから一緒に住む同居人だし。疑うって何を?」
そんなこと言われる時点で、わたしは彼女を信用していたのだが。
「たとえば……、今わたしが述べたプロフィールが全て本当のことかどうか、なんてわかりませんよ。
それを証明するには……」
そう言って、花岡芽衣はショルダーバックから長財布を取り出し、テーブルの上に何枚かの証明書を出して見せた。
ゴールドの運転免許証、社員証に、銀行のクレジットカード?