ラララ吉祥寺
「文子さん!」
目を開けると飛び込んできた、心配そうに覗き込む大きな目。
芽衣さんだ。
「良かったぁ〜 心配しましたよ。いつも元気な文子さんが倒れるなんて」
「えっと……、ここは……、病院?」
「一応、大事をとって救急車で。ここ日赤です」
「そっかぁ〜 イベントの最中に迷惑かけちゃったね」
「そんなこと文子さんが心配しなくていいです」
「父と木島さんは?」
「さっきまでお二人ともいらしたんですけど、検査の結果が出たって、今外に」
「検査?」
「文子さん、たぶんおめでたですよ。おめでとうございます!」
「えっ? そぉ? ありがとう」
「もぉ、水臭いなぁ〜 それならそうと教えてくれれば、あんなところに立ちっぱなしとかありえないでしょ」
「あんなとこって……」
なんとなくわかってはいたのだけれど確信がもてなくて。確かめるにもまだ気持ちの整理もつかなくて。
だから……
「ってことは、文子さん木島さんと結婚するんですか?」
「えっ?」
「そんな驚くことですか? って、何? 今までそんな話になったことないとか?」
「ない……、かな?」
正確には、プロポーズ紛いの甘い言葉はもらったことはあるけれど。
「うっそ! ありえない!!」
「なんか普通に一緒に暮らしてるからね。今更って感じだし」
「……お二人らしといえば、らしいかもです」
芽衣さんは優しく笑って、わたしの手をそっと握った。