ラララ吉祥寺
妊娠三ヶ月の告知に、「もちろん産みます」そう即答した私。
清々しい気持ちの私の隣りで、何故か不安気な表情の木島さん。
彼は終始無言だった。
「おめでとう」の一言を残して、個展の後片付けに戻った父。
ぐずり出した俊一君を抱えて、「また明日来ますね」と帰っていった芽衣さん。
そして私と木島さんだけが病室に残された。
ベッドの脇に立つ木島さんから厳しい眼差しが注がれる。
「木島さん?」
「わかってますよ、文子さんの考えてることくらい。どうせ一人でも産む気でいるんでしょ」
さすが木島さん。
心の中を見透かされた気がした。
「迂闊だったな。こんなことならさっさとプロポーズしときゃ良かった」
「さっさとって……」
不用意な言葉が、彼の焦りを如実に表しているのだと思った。