ラララ吉祥寺
やっぱり木島さん
「あ、やっぱりここにいた」
その声に振り返ると、生垣の上から木島さんの顔が覗いていた。
「とーしゃん!」
紡も気が付いて顔を上げた。
満面の笑顔。
顔も頭もびしゃびしゃだけど。
今日は朝から0123の庭に設えられた簡易プールでの水遊びに来ていたのだ。
「どうせ文子さん携帯の電源切ってるでしょ」
私は子供と向き合う時間はそのことだけに集中したいと思っている。
今日もスケッチブック片手に、紡が水遊びする姿を描いていた。
水しぶきをあげる小さな手、濡れた髪、まだまだあどけない愛しい私の息子。
いや、私達の息子と言うべきか。