ラララ吉祥寺
「今日の仕入れが早く終わったんで、夕食は僕が作ろうかなって思って。
帰りに自家製の野菜を沢山もらったんですよ」
木島さんが仕入れに行くのは、だいたいが郊外の農家が多い。
蔵のある古い農家には、木島さんのこよなく愛する古道具が沢山眠っているのだ。
所謂骨董と呼ばれるような名品がそうそう有るわけも無く。
そういう古道具は当の農家の人達には場所を取るガラクタでしかない。
けれど、使われて初めてその道具に価値があると考える木島さんは仕入れにとても時間をかける。
その道具のいわれとか、使い方とかを時間をかけてお年寄りと会話を繰り返しながら探っていく。
そして、木島さんはそれらの道具を再生させる心積もりをするのだ。
今日の仕入れ先は、何度か通った埼玉の岩城さん。
機織機を仕入れる算段で出かけていった筈。