ラララ吉祥寺


「おっ、これツムグか?」


紡が寝入った後、私は昼間のスケッチに水彩で色を付けていた。

「水遊びが嬉しくて堪らないって顔だ」

はじけるように笑う息子の表情を木島さんが嬉しそうに眺める。

「写真より、私の気持ちが強く入りますからね。

実際より楽しそうかも」

「いいんじゃない?

文子もその方が楽しいでしょ」

私と木島さんは夫婦別姓を通して子育てをしている。

紡は木島さんが認知をした上で彼の養子にした。

だから紡は木島紡。

山本姓はこの家では私だけだ。


「ツムグは俺似だな」


なにかにつけて木島さんはそう口にする。

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