ラララ吉祥寺

兎に角、会ってみないことには判断することもできないではないか。

わたしは保存してあったメールをdragon宛に送付することにした。

『見学随時東町2-○-△』

文面は前回と全く同じ。これで話が通じないなら、それはそれで仕方ない。

ところが送って直ぐに返信が来てしまう。

『明日朝八時可?』

さすがに今、夜の八時を過ぎた時点で、今日の訪問はないだろうとは思ったが。

なんと明日朝には見たいとは、何ともせっかちな話だ。



「そりゃぁ、なんかこう不確かなモヤモヤした状況を、そう長いこと放って置けないっていうか。

兎に角行って見て、どんなもんか見極めないと、って思いますよ」

「そうかな?」

わたしもそうでしたし、と答えた後、彼女はわたしの開いて見せたスマホの画面を眺めて呟いた。

「でも……、このdragonってハンドルネーム、男でしょうか?」

この文面からだけじゃ、男女の区別はつけ難い。

男が気負って付けた名か、はたまた女がカモフラージュの為に男らしい名を掲げたものなのか。


その疑問は次の朝、すぐに解けた。
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