ラララ吉祥寺

朝八時の来訪を受け、わたしは珍しく門扉から玄関までの掃除をしていた。

我が家のような奥まった敷地には、通りがかりにゴミを投げ捨てていく輩がいるものなのだ。

コンビニで買った菓子パンの空き袋とか、ジュースのパックだとか。

稀にコンビニ弁当の空き容器まであったりするから驚いてしまう。

駅からこの奥に広がる住宅へと帰る道すがら、歩きながら空腹を満たすのだろうか。

今朝も新聞を取りに外へ出たら、辺りにゴミが散らかっていたのだ。

放っておくことも儘ならず、わたしは仕方なくゴミを拾っていた。


「行ってきます」


その横を芽衣さんが通り過ぎる。


「行ってらっ……」


と声をかけようとして、彼女の後ろ姿が黒い影で掻き消された。

門扉を塞ぐように、家の前で緑の軽トラックが止まったのだ。
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