ラララ吉祥寺
一方の彼も、呆然と自分を見つめる二人の女に戸惑っていたようだ。
彼は門の後ろで立ちつくすわたし達二人を真っ直ぐに見つめ、それでも声をかけるかどうか迷い、立ち尽くしていた。
仕方ない。
ここはわたしが先陣を切るしかないか……。
「あの、dragonさんですよね?」
わたしはかなり断定的に尋ねた。
「え、あ、はい。貴方がsazenさん?」
「そうです。ご連絡頂きありがとうございました。お待ちしてました」
取り敢えず、出迎えに来たことは伝えなければ。
少なくとも、彼を待っていたことは間違いなのだから。
「いやぁ、参ったなぁ~ てっきり男性だとばかり思ってました。
もしかして、ご迷惑じゃありませんか?」
女性二人を目の前に、彼は見かけよりずっと紳士的に話し出した。
芽衣さんがわたしに軽く目配せをする。
恐らく、彼女は一人残されるわたしを気遣ってくれている。
でも、まあ、彼なら一対一でも大丈夫だろう、とわたしは妙な確信を持ったのだ。
「芽衣さん、遅刻しますよ。詳しくは後ほど連絡入れます。いってらっしゃい」
わたしは躊躇することなく、彼女を仕事へと送り出した。